マインドフルネス
と「脳」
1 マインドフルネスとは
「いまこの瞬間」に目を向ける
私たちは、過ぎ去った過去のことや、まだ分からない未来のことばかりを考えがちで、頭の中はいつも思考でパンパンです。マインドフルネスは、過去でも未来でもなく「いまこの瞬間」に意識を向けることで、思考をしずめ、脳や心を休息モードに導くもの。東洋に古くから伝わる思想や教えに、西洋の心理学を融合し体系化されたもので、その効果はすでにあらゆる研究で立証されています。実際に、世界的企業のGoogleやAppleの他、日本でもYahoo!やメルカリなどの大手優良企業が取り入れ、組織力向上や従業員のパフォーマンスアップにつなげています。
その代表的なものが「マインドフルネス瞑想」。姿勢を正し、座って、「呼吸」に集中するだけなので、誰でもいつでも取り入れることができます。呼吸以外にも、仰向けの状態で身体の各部分の一つひとつを観察する「ボディスキャン」、足裏や動く動作に意識を向ける「ウォーキング」、食べ物の色や香り、味、食感、喉を通り過ぎる感覚を味わう「イーティング」、その他「書く」「聞く」「話す」「アウェアネス」「コンパッション」「熟考」など、バリエーションは豊富です。つまり「いまこの瞬間」に目を向けられるものであれば、どんなものでもマインドフルネスといえます。
- ストレスの軽減
- 感情のコントロール
- 心の安定・余裕
- 集中力・発想力・
創造性のアップ - 自己肯定感の向上
(自信) - 他者への愛情
- 睡眠の質の向上
- 内面・外面の美しさ
2 「脳」の疲れのメカニズム
脳の疲れは
なぜ起きるのか?
情報量の爆発的増加
いま、私たちのまわりにはものや情報が溢れています。何気なくスマホを開くだけで、自分好みのものや情報が次から次へと手に入り、SNSやLINEなどでは、いつでもどこでも誰かとオンラインでつながっている状態。総務省が発表しているデータによれば、20年ほど前のインターネットの情報量を10とすると、現在は6000倍の約6万にものぼるそうです。現代の私たちの頭の中は、常にたくさんの外からの情報を超高速で処理しづづけているといってもいいでしょう。
無意識下の「こうあるべき」
という思い込み
「私ってダメだな」「いついつまでに、あれをしなくちゃならない」など、自分自身に対する不満やストレス=疲れは、自らの「こうでなくてはいけない」というものさしから生まれています。このものさしは、幼少期の育った環境や、仕事や家庭での役割といった、いま自分が置かれている状況によって無意識につくられていきます。何かを判断するときや、行動を起こそうというときに、この無意識の思い込みや考え方のクセが邪魔をして、自分を過小評価したり、自分自身の可能性を狭めてしまったりすることがあります。
ぼーっとしているときでも
脳は動きつづけている
「今日は頭を使ったなぁ」というとき、身体を動かしたときと同じように、どっと疲れを感じたり空腹になったりした経験はありませんか?実は脳は多くのエネルギーを必要とする臓器で、意識的な活動をしていないときでも一時たりとも動きを止めないのです。
このぼーっとしているときの脳回路は、DMN(Default Mode Network/デフォルト・モード・ネットワーク)と呼ばれ、脳の消費エネルギーの60〜80%も占めるといわれています。ちなみに意識的な作業で必要になる脳の消費エ ネルギーはわずか5%。「ぼーっとしていただけなのに疲れたな」というときは、DMN が過剰に動きつづけている可能性が考えられます。
マインドフルネスは、膨大な情報、思い込みや考え方のクセといった「雑念」が、脳の消費エネルギーを無駄づかいするのを防ぎ、脳の空き容量を増やしてくれます。トレーニングを重ねることで、「脳の構造」そのものが変わり、いつどんなときでもクリアで心地のいい日常を手にすることができるようになります。