現代人の疲れにマインドフルネスが効果的な理由
コラム

◇いつも疲れている現代人の日常

私達が日々の疲れをとるためにとる行動といえば、先ずは「身体を休めるよう」と考えます。例えば家でのんびりとソファーでくつろぐ、たっぷりと睡眠をとる、温泉やサウナに行って疲れを癒す。そのような方法で「身体を休めよう」とします。

でもせっかくの休日に温泉に行ったり、充分に睡眠をとっても、なんだか疲れが抜けずに、結局月曜日の朝は身体もだる重く、いつも疲れている、そんなことはないでしょうか。また仕事中も集中できず他のことを、ふと考えてしまったり、テレビを見ていても、気になっていることが突然思い出されて、なんだか内容が入ってこなかったり。実はそんな経験を多くの方がされてます。

日常生活する中であまり意識する事もありませんが、実は、脳というものは、自分が意識をしていない間もフル活動しており、そして睡眠中も絶えずメンテナンスをしているため、自ら休むことができません。この話をすると結構驚く方も多いのですが、確かに寝てる間も夢とか見ますもんね。ほんとうに脳は働きものなんです。

◇わたしたちの脳の活動状態

私たちの脳は、デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)と呼ばれる神経回路が司っており、脳の消費エネルギーの60~80%を占めます。このDMNは、脳が意識的に活動をしていない時に働くネットワークです。車で例えるならば、アイドリングの状態に相当します。ここから意識的な作業で必要になる脳の消費エネルギーはわずか5%といわれ、いかに脳のアイドリング状態の消費エネルギーが高いかという事が解ります。

現代社会は、情報であふれています。様々な情報に気がそれてしまい、「雑念」によって、完全に無心になることはありません。ぼんやりと何も考えていないつもりでも、そうした様々な「雑念」によってDMNが活発化するため、自分では休んでいるつもりでも、脳は休息する事ができない状況にあります。

つまり、何もしていなくても、脳は勝手に疲れてしまうのです。雑念を放っておくと、思考がさまよう「マインド・ワンダリング」という状態が起こりやすくなり、これが「脳疲労」を引き起こす大きな原因になります。脳疲労とは、物理的な疲労以上に「疲れた」という信号が脳から自らに発信されてます。

多くの方が「肩こりでいつも疲れている」「やる気が出ない、集中力が続かない」「いくらたくさん眠っても、疲れがとれない」と感じているのは、このようなDMNの稼働によって、脳疲労になっている状態だと考えられます。身体をどれだけ休ませたとしても、脳の疲れがとれなければ疲れた状態のままです。

◇マインドフルネスとは

マインドフルネスは、雑念を抑え、脳を休ませることによって、脳疲労を回復させる方法として有効である事が科学的に実証されてます。マインドフルネスとは、「今の自分の状態に意識を向け、今に集中し、思考や判断をせず、自分を受け入れる心の状態のこと」をいいます。つまり脳を休めるためには、DMNを使いすぎないようにするということ。マインドフルネス状態になると、頭がスッキリするのは、この作用が働いてます。

また嬉しい事にマインドフルネスを継続することで、脳が疲れにくくなり、マインドフルネスな状態を保つことで、自然にストレス解消へとつながっていきます。一般に、マインドフルネス状態になるためには、マインドフルネス瞑想を行います。

その方法は、今の自分の呼吸に意識を向けます。自分がどんな呼吸をしているのかを意識してみて、息の感覚などを味わいます。そして雑念が浮かんだ事に気付いたら、そのたびに自分の呼吸に意識を戻していきます。このような瞑想を、毎日10分ほどかけて継続していきます。マインドフルネスは情報が溢れかえり脳疲労に悩む、現代人に適した休息法といえます。

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